こんにちは、サバイサバイFXです。
チャートの値動きを背景にある市場心理から解説するシリーズ。
今回は、「ネックラインで一時的に価格が反発する理由」について解説します。
どんな現象?
ダブルトップや三尊などのチャートパターンで重要な節目として捉えられるネックライン。
このネックラインをブレイクすれば、ダブルトップや三尊であれば下落方向への動きの期待が高まるというのは多くの方が知っていることでしょう。
ただし、教科書に書いてあるように、一発でズドンとネックラインを割る動きばかりではなく、実際には一時的ネックラインで反発して揉み合いの後にネックラインをブレイクしたり、はたまたそこから高値更新するなんていう動きもあるわけです。
ネックライン付近ではどのような投資家の心理が働き、それがどのような行動(アクション)に繋がるのかを以下で考察していきたいと思います。
市場心理分析
上の図のネックライン付近をアップして、数字を加えた以下のチャートで説明をしていきます。
青の波が1時間足や4時間足の波だと仮定します。
・①のポイントでは、直近高値を更新できないことを確認して、上昇トレンドでロングを仕込んでいる勢力の利確(=売り)と直近高値を背に逆張りのショートを仕掛けてくる勢力の売りが入ります。
これによってレートが下がります。
・②のポイント(ネックライン付近)について ①からの下落は15分足や5分足で見ると、赤の波のような下降波が形成されます。これを見て下降トレンドだと判断したトレーダーがショートを仕込んできます。
1時間足や4時間足といった時間軸を確認せずに、短期足だけを見ているトレーダーの中にはこのように短い足の下降トレンドを見て、しかも終盤で売ってくる勢力がいます。(僕自身もそうでしたが、初心者の頃はこういうところでポジションを持ちがちですね。)
・③のポイントでは、①で逆張りのショートを仕掛けていた勢力が、ネックラインでの反発を恐れ利確(=買い)をしてきます。また、ネックラインでの反発を期待して押し目買いを入れてくる勢力もいます。
なぜネックラインで利確するのか?
①のようなてっぺんで売ることのできた人がなぜネックラインで利確(一部であっても)するのでしょうか? ネックラインは上のケースで言えば高値更新はできなかったとは言え、買い注文が入った場所です。レートが再びそこに到達すれば買われるかもしれない、であれば一部だけでも利確しておこうという心理が働きます。高値更新できずに再びネックラインに戻ってきたということは、買いよりも売りの勢力の方が強いということを意味するため、ネックライン付近でそれほど強い買いが入るとは考え難いものであるものの、何が起こるかわからないのが相場です。いずれにせよ反発するかもしれないという不安心理が、一部だけでも利益確定しておこうというアクションを引き起こします。
・④のポイントでは、ネックラインからレートが上昇してくるにつれて、②でショートをしていた勢力が含み損になるので、彼らが損切り(=買い)をしてきます。これが再びレートの上昇に貢献します。
以上がネックラインで価格が反発するメカニズムです。
ここからさらにレートが上昇してWトップの高値を超えてくるのか、再び下げてネックラインをブレイクしてくるのかは、その時々の相場の状況で買いと売りのどちらかが強いかに依存します。
Wトップの少し上に日足や週足などの上位足のレジスタンスラインがあれば、売り圧力が強く下がりやすくなるでしょうし、逆にそうしたレジスタンスがなければ、Wトップを否定して上昇していく動きが出ることもあります。
トレーダーとしての心がけ
トレーダーとして持っておきたい視点は、仮に上の例のようにてっぺんからの売り玉を持っている場合は、一部でもネックラインで利確するよう心がけることでしょう。
これはつまり、自分がどこからどこまでの値幅を狙うのかを明確にすることとも言えます。
- ネックラインで一時的に反発するかもしれないから、そこまでの下落を狙うショートなのか、
- ネックラインをブレイクして下方向への動きが加速するのを狙うのか?
2の動きを狙うのであれば、あえててっぺんという難しい場所で無理にエントリーを検討する必要はなく、ネックライン抜けてからのエントリーでも十分間に合うわけですし、逆にてっぺんでエントリーしたとしても、1の視点が抜けていると、せっかくてっぺんから入って得ることのできた含み益が半減したり、最悪建値まで戻ってくる可能性だってあります。
こうした視点が抜けていると、狙いのないトレード(=戦略なき戦い)となり、効率の悪いトレード(ポジションを保有している時間と得られる値幅のバランス)につながります。
市場心理分析=そう考えることが最も正しいと考えられる推論
答えのない問いに意味や解釈を見出す哲学の世界では、「最善の説明を導く推論」という考え方があるようです。
与えられたデータや証拠(=事実)に対して、それを最も上手く説明できる仮説を選ぶといった推論のやり方です。
市場心理分析も同じことです。
その時市場に参加していた人全員にインタビューするわけにもいかないので、あくまでこうやって考えることができるという推論・解釈の一つにすぎません。
ですが、上のような論理展開とチャートの実際の動き(=事実)が符合することから、上記のような心理が働いてマーケットを動かした可能性が高いと考えることができます。
こう考えるとチャートの動き(=事実)に整合するから、こう考えるのが正しい、という論法ですね。
今回お伝えしたかったのは、ダブルトップや三尊といった様々なフォーメーションをただ暗記するのではなく、その背後にはそれをそのように動かした人間の心理があるということを理解すれば、どのようなチャートの形になっても自分の頭で考えて、アクションが取れるようになるということです。結果としてトレードの質は向上するはずです。
何より、無味乾燥なチャートが期待、歓喜、失望、恐怖といった人間の感情のるつぼとして捉えられ、分析するのが楽しくなると思います。
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市場心理分析
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