こんにちは、サバイサバイFXです。
今回はエリオット波動に関する記事として、個別株にエリオット波動は使えるのか?というテーマで解説をします。(個別株のチャートにエリオット波動は現れるのか?の方が正しいかもしれません。)
株式というと、米国株のSP500やナスダックのようなマーケットやセクターに投資するものと、アップルやマイクロソフト、トヨタといった個別企業に投資するものに分けることができますが、後者の個別株についてエリオット波動理論を使うことができるのかという問題です。
目次
個別株にもエリオット波動は使える
理論的観点
まずエリオット波動理論の理論としての観点からの冒頭の問いに対する答えはYesです。
ただし、どの銘柄に対しても適用できるというものではありません。
Robert Prechterの著作”Elliott Wave Principle : Key to Market Behavior ( Robert Prechter, A.J. Frost他 )”にはにはっきりとこのように記載されています。
"As we shall illustrate, while the Wave Principle has some application to individual stocks, the count for many issues is often too fuzzy to be of great practical value"
これから示すように、エリオット波動理論は個別株にも適用できる一方で、多くの銘柄にとっては波のカウントが実用的とはかけ離れた非常に曖昧なものになってしまう。
Robert Prechter(ロバート・プレクター)氏は、エリオット波動理論研究家でありエリオット波動理論を用いた株式アナリストです。エリオット波動理論の生みの親であるラルフ・ネルソン・エリオット氏のエリオット波動理論を、市場に再紹介した人物として知られています。
また、下の動画(英語)はElliott Wave International というエリオット波動の研究調査機関が出しているものですが、この中でも以下のように述べられています。
エリオット波動が個別株の集合体である株式指数で非常にクリアに現れる理由は、大衆心理の変化が反映されたものだからである一方で、個別株には株式を売買する個々人の個別の理由、特別な理由が存在することにより、特定の日、週、月に株価が上下する。
一方、個別株の集合体としての株価指数は、市場参加者全体が市場に資金をつぎ込んでいるのか、引き上げているのかの動きを示している。市場参加者が将来に対して楽観的であれば、より多くの資金を市場につぎ込む一方で、将来に対して悲観的であれば、資金を引き上げようとする。
こうした動きは多くの個別株でも実際見られるものであるが、投資家は大衆心理が関わっていると考えられるエリオット波動の明確なパターンが現れた時に限って行動しなければならない。
Video: Can You Use the Wave Principle with Individual Stocks?
上のYoutube動画で取り上げられているアップル社の株価のエリオット波動です。
エリオット波動が綺麗に現れている例と言えるでしょう。
出展: 上記Youtubeより引用
以上から、エリオット波動理論としては、個別株にもエリオット波動は現れることがあるし、そのような場面をきちんと選別することで、エリオット波動理論を活用して投資やトレードを行うことが可能ということがわかると思います。
記事 「【エリオット波動】4波は1波の終点を超えてはいけないは本当なのか?」(下記リンク)でも解説していますが、エリオット波動をきちんと学ぶのであればやはり最低1冊は書籍を読むことをおすすめします(推奨書籍も同じ記事の中で紹介しています)。
理由はインターネット上のエリオット波動に関する情報(特にYoutube)は非常に偏った情報や一部だけを取り上げているものが多く、そのまま鵜呑みにすると、全体像が欠落した状態や誤った知識、知識不足の状態で相場に臨むことになってしまいます。
エリオット波動理論というツールを本気で使えるようになりたい、真剣に相場に向かい合いたいと考えている人は、体系だって整理されている書籍を通じて、"自分の目"で情報を確かめ、判断するというプロセスを経ることを強くおすすめします。
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個人的見解
僕自身の見解も上と同様に、どの銘柄に対しても適用できるものではないけれど、エリオット波動が現れるものも多く存在するという立場です。
これは実際に個別株のチャートを見れば明らかです。
米国株であろうが、日本株であろうが、タイ株であろうが、市場参加者の心理が反映されているものであればエリオット波動は現れます。
エリオット波動は市場心理がチャートに波として現れたものです。なぜエリオット波動が形成されるのかという点は、以下の記事で詳しく解説していますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
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エリオット波動が個別株に現れるか否かの見極め方として、個人的な印象ですが、売買が活発に行われている銘柄はエリオット波動が形成されやすいという印象を持っています。
逆に売買が活発に行われていない、人気のない銘柄は全くと言っていいほどエリオット波動のパターンが現れません。
個別株にエリオット波動が現れる例
それでは実際に個別株にエリオット波動が現れる例を見ていきましょう。
今回は日本株から2社、トヨタとソフトバンクグループ(親会社の方)を取り上げたいと思います。両社とも誰もが知る有名企業ですね。
トヨタ
以下はトヨタ自動車の2012年から2016年にかけての週足です。
上昇5波から修正3波の流れが綺麗に現れています。
ソフトバンクグループ
こちらはソフトバンクグループの2003年から2009年にかけての週足です。
トヨタ同様に上昇5波から修正3波の流れが綺麗に現れています。
二つの例から言えること
上の二つの例のように、例えば週足レベルでの綺麗なエリオット波動が確認できる時には、長期に渡って投資家心理がその銘柄を支配している可能性が高いと考えることができます。
であれば、下位足でもわかりやすいエリオット波動が現れるかもしれない。そうであればトレンドが出ている中での押し目買いのタイミングを、下位足のエリオット波動を見て掴んでみようという考え方もできます。
なぜなら相場はフラクタル(=短期・中期・長期という異なる時間軸での投資家心理の重なり合い)だからです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
記事の前半でエリオット波動理論の観点からの解説をしましたが、個別株についてはエリオット波動の明確なパターンを示した時に使えば良い、という考え方は参考になったのではないでしょうか。
実はこの考え方は、個別株だけではなく、FX(為替)やコモディティ、暗号資産でも取り入れるべき考え方です。
・なんでもかんでもエリオット波動で捉えようとしない。
・わかるところだけ見れば良い。
と考えることで、わかりやすいところのトレードに集中する(=無駄なトレードを排除する)ことができます。
そもそもエリオット波動を使う目的は、波を綺麗にカウントすることではなく、波の進行具合から現在の相場の現在地(今はトレンドの初期なのか、中期なのか、末期なのか、それとも調整時期なのか)を知ることにあります。
波動が綺麗に現れていないということは、市場参加者の心理も迷っている最中ということで、大きな動きにはなりにくい、であればそういう場面のトレードは見送るといった判断も可能になります。
個別株を取引している方は今回紹介した視点を踏まえて、エリオット波動を使ってみてはいかがでしょう。