こんにちは、サバイサバイFXです。
今回は今個人的に注目している通貨であるスイスフランについて、注目する理由と通貨ペアを共有したいと思います。(2022年8月に執筆したアイデアです。)
スイス中銀ショック
世界的に進行するインフレを抑え込むために、世界各国の中央銀行が金融引き締め、利上げに向かっています。
数年ぶり、数十年ぶりにXXポイントの大幅利上げを実施といった大々的な見出しが経済ニュースを飾る日々が続いており、まさに中央銀行による利上げレースといった様相です。
先頭を走るのはもちろん米国。
カナダやイギリス、ニュージーランドも他国に比べ早い段階から引き締め方向に舵を切り、先頭集団を走ります。
一方でその利上げレースの最後尾に位置していたのが、欧州中央銀行、日銀、そしてスイス中央銀行でした。
7月に約10年ぶりの利上げを行なった欧州中央銀行は、かねてからEU圏内のインフレが高まるにつれ利上げ観測が高まっていた一方、スイス中銀は正反対。
金融引き締め・利上げレースのブービーメーカーは日本かスイスかと言われるくらい、超緩和スタンスを貫いていました。
そんな矢先の6月半ば、スイス中銀がインフレ抑制のために突如利上げを発表。それも一気に0.5ポイントの利上げをするというサプライズ発表により、多くの市場参加者が意表を突かれ、スイスフランが高騰する出来事が起きたのです。
スイス中銀ジョルダン総裁の発言
6月のスイス中銀利上げ発表後のジョルダン総裁の発言からは2つの興味深い点が読み取れます。
①スイスフランに対する中銀評価の変化
②インフレ懸念深刻化
もともとスイス中銀は、口を開けば「スイスフランは過大評価されている」「必要あれば躊躇なく介入(この場合はスイスフラン売り)を行う」と自国通貨高に対して懸念を表明してきました。
ですが、6月半ばの金融政策発表では、一転して
「スイスフランはもはや過大評価されていない」
「スイスフランが過度に上昇するならば外貨を買う準備があるし(=これまでと同じ)、下落する場合は外貨売りも検討する(=フラン買い介入示唆)」
と、これまでの自国通貨に対する評価と介入方針を変更。
自国通貨高は対インフレに関しては輸入物価の抑制に寄与しますから、インフレが進行する現在の状況においては通貨高は中銀にとっては渡りに船といったところなのでしょう。
いずれにせよ、このことは中銀が自国通貨に対する評価と介入方針を転換するするほどにインフレが深刻化しているということを意味し、また同時に将来に渡って継続的に利上げをする可能性が高まっているということができます。
ドルスイスフラン週足
(中段は米国・スイスの政策金利、下段は米・ユーロ・スイスのインフレ率
注目の通貨ペア
以上踏まえて注目したいのが、昨今為替市場の動きを牽引している金融政策の乖離・金利差を考慮した通貨ペアの選択です。
ここでは二つの通貨ペアを紹介したいと思います。
1. ユーロ・フラン
欧州中央銀行は最近利上げを行いマイナス金利を脱しましたが、ウクライナ情勢という地政学リスクの先行き不透明感とそれに伴うリセッション入り懸念からタカ派になりきれない可能性があります。
利上げ後もユーロの動きに猛々しさが戻らないのは、そうした要因が大きいのかもしれません。
一方でスイスのインフレ率の上昇が続き、スイス中銀が躊躇なく利上げを行なっていけば両国の金融政策・金利は乖離し、スイスフラン高方向の動きが続く可能性が考えられます。
週足
元々2018年頃より下降トレンドが続いていたのですが、ここ最近になって再び下落が強まった動きを見せています。
パリティをブレイクし、現在はスイスフランショック時の安値をもブレイクしています。
これより下はTradingViewのデータを見る限り過去にレートが存在しない底なし沼状態です。
パリティというサイコロジカルな節目をブレイクしたことに加え、スイス中銀の通貨高容認を踏まえれば、さらに一段二段と下値を切り下げる展開が考えられます。
長期下降トレンドに沿って、戻り売りを基本スタンスとして臨みたいところです。
2. フラン・円
月足
ユーロフランのチャートを上下逆さまにしたかのようになっています。
こちらもスイスフランショックでつけた高値を派手にブレイクし、1980年の高値まで目立った抵抗はない真空地帯に突入しています。
スイス中央銀行が利上げを継続しマイナス金利を脱出となれば、世界で唯一マイナス金利を維持している日本との金融政策の乖離差・金利差はますます拡大していく事になります。
長期トレンドに沿って押し目買いを基本スタンスとして臨みたいところです。
この記事はTradingViewでエディターズピックに選ばれたアイデアを記事化したものです。
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