こんにちは、サバイサバイFXです。
今回の記事ではダウ理論の重要な考え方の一つである押し安値と戻り高値をどのように見つけたら良いのか、客観的に判断する方法について解説します。
僕自身もダウ理論を学ぶ中で、押し安値と戻り高値っていったいどの高値・安値がそうなんだろうと疑問に思い、また多くのトレーダーが言う押し安値と戻り高値がバラバラであることに気づき、思い悩みました。
何か客観的に判断する方法はないのだろうかと、英語の文献含めダウ理論の書籍を読み漁ったり、過去チャートを検証したりと試行錯誤するうちに、欧米のトレーダーが好んで用いる考え方を習得するに到り、今ではルールに基づき客観的に押し安値と戻り高値を見つける方法を身に付け、トレードに活かすことができるようになりました。
今回はその方法を紹介したいと思います。
目次
押し安値・戻り高値とは
まずは定義の再確認からです。
押し安値とは、直近(前回)の高値を更新する起点となった安値。戻り高値とは直近(前回)の安値を更新する起点となった高値のことです。
文章だけだとわかりにくいと思うので、以下の図を合わせて見てください。
左の押し安値の図では、①の高値を次の高値で更新していますね。なので、その更新された高値を作る起点となった安値を押し安値と言います。
戻り高値も同様です。①の安値を次の安値で更新しているため、その更新された安値を作る起点となった高値を戻り高値と言います。
たまに「戻り安値」など両者がごっちゃになって覚えてしまっている人がいるので、自信がないという人はまずは定義をしっかりと覚えましょう。
なかなか覚えられないという方は、以下のように俳句のリズムで覚えてみると良いかもしれません。
"前回の 高値を超えた 元(もと)安値”
押し安値・戻り高値が意味するものとは?
さて、定義についてはみなさん再確認できましたでしょうか。
それでは次に押し安値と戻り高値とはいったい何を意味するのか? を考えていきたいと思います。
先ほどと同じ図を使って考えてみます。
押し安値に注目してください。
この価格の後、レートは上昇していっていますよね?
ではなぜレートが上がるのでしょうか?
チャートというのは買い勢力と売り勢力の力のバランスで動きます。買いが強ければ上がるし、売りが強ければ下がります。
押し安値の位置からレートが上昇してきているのは、押し安値以降の地点では買い勢力の力が売り勢力より大きくなったからです。
押し安値のポイントでは売り勢力を上回るだけの強い買いが入ったということもできます。
戻り高値も同じ考え方です。
戻り高値の位置で、それまで買い勢力の方が強かったためにちょっとずつ上昇していたレートが、一気に反転して下げに転じています。
これは戻り高値以降のポイントでは売り勢力が買い勢力を上回ったからです。
押さえておくべきポイントはこれだけです。
この考え方を理解しておけば、あらゆる金融商品の、あらゆる相場で自分で論理的に考えてシナリオを立てていくことができるようになります。
押し安値・戻り高値の考えは三尊にも応用できる
押し安値・戻り高値の考え方を身につけると、例えば三尊や逆三尊といったチャートパターンの見方も変わります。
こちらは三尊を例にとって押し安値の意味するものをツイートしたものです。
三尊の右肩で売りたいというケースを例として紹介しています。
【三尊Tips:右肩で売りたいんです】
三尊の右肩で売るとリスクが高いケース・リスクを低減できるケース①押し安値ラインを割っていない三尊
->上目線で買いを入れてくるトレーダーがいる
②押し安値ラインを割った三尊
->下目線転換で落ちやすい※右肩売り時は上位足の節目が近くにあるかも意識 pic.twitter.com/NS3HYW8dm8
— サバイサバイFX | SABAI SABAI FX (@thaikabu365) October 11, 2020
皆さんは右肩下がりの三尊は右肩から売っていい、右肩上がりの三尊だから右肩から買っていい、ということを聞いたことがありますか?
実はこれ、右肩上がりだから買っていいとかそういう"形"で語るべきものではないんです。
そのように右肩上がりとか、右肩下がりとかの形で「感覚的」に捉えていると、
「右肩上がりってじゃあ具体的にどれくらいの角度の時のことを言うの?」
「角度が15度だったら買っていいけど20度だったらダメなの?」
という疑問に自分自身が答えられないですよね。
相場は毎回変わります。
変わる相場ごとに自分の見方・考え方まで変わってしまったら、どうやって自分の軸やルールを定めて相場に向き合っていくことができるでしょうか。
そうではないんですね。
上で紹介した押し安値・戻り高値が意味することさえ分かっていれば、形なんかを暗記する必要はなく、自分で論理立てて考えることができるのです。
上の三尊の例に戻ると、押し安値を割った三尊だから右肩付近まで上がってきた時に売りが入りやすい、イコール売ってもリスクが少なくなる可能性が高いということなんです。(実際売るかどうかはトレーダーの腹づもり次第)
なぜか?
一つ目の理由は、それまで続いていた上昇トレンド(ダウ理論で言う、高値の切り上げ、安値の切り上げが途切れた)が終わったということ。
もう一つの理由は、押し安値を割った動きが出たことで、売り目線で入ってくるトレーダーが多くなるということです。押し安値以降、買い勢力が強い状態が続いていたのに、その押し安値を割る勢いの下げの動きが出たのです。ということは売り勢力が強くなったということになりますよね。
こういう風にして、きちんと論理立てて相場を見たり、自分のルールを定めた上で相場を見ていかないと、いつまでたっても感覚に頼ったトレードになったり、その場その場で相場の見方や目線(買いなのか売りなのか)がコロコロ変わるということになるのです。
相場の見方や目線が固定できないということは、当然トレード結果もバラつきやすくなることは容易に想像できるでしょう。
何せ相場の見方(ルール)が毎回変わってしまっているのですから。
相場の観察による経験の蓄積というのも起こりにくいことになると思います。
ダウ理論が相場を見る上で重要なたった一つの理由
ダウ理論が相場を見る上で重要な理由は、買い勢力が売り勢力より強ければ相場は上昇する、という相場の原理・原則に基づいているからです。
相場を見る上での目線(買い目線(=買いが入りやすい場面)か売り目線(=売りが入りやすい場面)かということ)を定めるのに、押し安値・戻り高値がいかに重要かということはここまで読んでいただいた方であればお分りいただけることと思います。
あなたは見つけられますか?押し安値・戻り高値はドコ?
さて、ここまで押し安値・戻り高値の定義の振り返りとともにその重要性についておさらいしてきました。
ここで皆さんが疑問に思うのは、
「一体、どこが押し安値・戻り高値なのか?」
ということではないでしょうか。
以下3つのケーススタディを通して見ていきましょう。
僕はチャートを見た瞬間に10秒以内に押し安値と戻り高値の両方を見つけることができます。
皆さんはこのチャートを見て、見つけられますでしょうか?
ぜひトライしてみてください。
ケーススタディ1
ドル円1時間足(2020年12月〜2021年1月)
ここでは押し安値と戻り高値の両方を見つけてみましょう。
理解度をチェックしてみましょう=>クリックして別ウィンドウ表示
答え
赤の丸が戻り高値、青の丸が押し安値です。
戻り高値をブレイクする動きが発生した後に、その起点の安値である青の丸で示した安値が押し安値となります。
ケーススタディ2
続いてユーロドル4時間足(2020年11月〜12月)です。
ここでは押し安値を見つけてみてください。
候補としていくつか赤の丸をつけてみました。皆さんは明確な基準を持って"ココだ!"と言えますでしょうか?
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答え
青の四角で囲った安値が最後の高値更新の起点の安値である押し安値です。
ケーススタディ3
3つ目はポンド円の日足(2017年6月〜2018年11月)からです。
ここでは戻り高値を見つけてみましょう。
理解度をチェックしてみましょう=>クリックして別ウィンドウ表示
答え
正解は、チャートの右端の時点では戻り高値は存在しないです。
押し安値と戻り高値は二つが共存するということはありません。
戻り高値がブレイクされて初めて、そのブレイクの起点となった安値が押し安値となり、また同様に押し安値がブレイクされて初めて、そのブレイクの起点となった高値が戻り高値となります。
あえて、過去に存在した戻り高値を示すと以下のチャートに示す青の破線枠で囲った高値が戻り高値となります。
ただチャートを見ていただいてわかる通りこの高値はすでにブレイクされていますので、チャートの右端の段階では戻り高値は存在せず、代わりに押し安値が存在しているということになります。
さて、いかがでしょうか。
3つのうちのいくつを自信を持って答えられたでしょうか。
簡単すぎて話にならない、という方はすでに必要な知識を持っている方かもしれません。
一方で全くわからない、まだ自信がないという方は、これから明確に押し安値・戻り高値を判断できるスキルを身につけ、相場の見方・トレード力を向上させるチャンスがあると言えるでしょう。
多くのトレーダーが意識する高値・安値でないと意味がない
さて、ここまで見てきて一つ言えることは、
「多くの人が見ている高値・安値でないと意味がない」
ということではないでしょうか?
自分が押し安値・戻り高値だと思っていても、世の中のその他大多数の人がその価格に注目していなければ、記事で説明したような目線の転換やポジションの反転によるトレンド転換といった現象も起きにくくなります。
だからこそ、客観的に押し安値・戻り高値を判断する方法が必要なのです。