チャート分析 トレード戦術

急騰後にダブルトップをつけることが多いのはなぜか?その市場心理を読み解く

こんにちは、サバイサバイFXです。

チャートから市場心理を読み解くシリーズ、今回は「急騰後にダブルトップが形成されることが多い市場心理」についての考察です。

個人的な見解ですが、価格が急騰した後はダブルトップをつけて急落していくケースが多いように感じています。

このような形です。

https://www.tradingview.com/x/G6Q5yAtU/

エリオット波動でいうと、5波の高値更新が失敗することでフェイラーとなるケースに該当します。

今回は、なぜそのような形になるのかをマーケット参加者の心理の面から考えてみたいと思います。

 

 

市場心理考察

実際のチャートを使って考察していきます。

以下のチャートはドルスイスフラン(USDCHF)の2021年5月末から6月頭にかけての1時間足です。

この記事を書いている日の直近のチャートであり、最近はレンジ相場が続いているため例として相応しいものかどうか悩んだのですが、形的にはよくある形なのでこちらを使って解説していきます。

 

https://www.tradingview.com/x/U8CxPpnN/

もう少し引きで眺めたのが以下のチャートです。

 

見ていただければわかると思いますが、急な上昇から赤の部分でダブルトップをつけて急落するという形になっています。

チャートに番号を振っているので、これを元にどのような市場心理が働いてこのような動きになるのかを考察してみます。

注目するのは赤のダブルトップの部分です。

  • 急騰が発生し一定の値幅に到達したことから、③の部分で①や②でロングを仕込んだ勢力の利確が発生します。
  • 利確によって価格が下がってきますが、同時に急騰を見た勢力が下がったところがチャンスと見て後乗りで買いを入れてきます(④)。(いわゆるスケベ❤️ロングというやつですね)
    浅い押しで買いが入っているのも、今買わないと置いていかれるというFOMOに沿った動きと捉えられます。急騰ならではの心理でしょう。
  • さて、一定の買いが入ったことでレートは再び上昇を見せますが、③の高値付近に来たことで、再び①/②からポジションを持っている勢力の利確(=売り)と③を背にして売りを仕掛けてくる勢力(⑤)に晒されます。
  • その状態でも買いが強ければ③の高値を更新して上昇していきますが、売りをこなせるだけの買いのフォローがついてこない場合はレートが下がっていきます。
  • ④で買いを入れた勢力にとって、最後のホープはネックラインでの反発ですが、買い支えが入らず、ネックラインを割ったことで④の押し目買いは失敗。失望と共に④の勢力が損切り(=売り)になります。
  • 一方、①/②というトレンドの根元からロングを仕込めている勝ち組勢力は、高値更新が失敗し(=もう上がらない)、ネックラインを割って来た(=安値が更新された)のを見て利確して来ます(=売り)。
  • こうしてレートはさらに下がる

以上が、この一連の動きの背後にある市場心理の解釈です。

トレーダーとして持っておきたい視点は、④での買いは高値掴みになる可能性がある(エリオット波動でも5波目の可能性)、⑤で売り圧力に晒される可能性、⑥損切りと利確による下落でしょうか。

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市場心理分析=そう考えることが最も正しいと考えられる推論

答えのない問いに意味や解釈を見出す哲学の世界では、「最善の説明を導く推論」という考え方があるようです。

与えられたデータや証拠(=事実)に対して、それを最も上手く説明できる仮説を選ぶといった推論のやり方です。

 

市場心理分析も同じことです。

その時市場に参加していた人全員にインタビューするわけにもいかないので、あくまでこうやって考えることができるという推論・解釈の一つにすぎません。

(将棋の鑑賞戦のように、「なんで④でロングなんかしたんですか?」「いやー、上昇してるのを見てたらついね、、、」といった市場参加者の声を実際に聞くことができればそれはそれで面白そうです。)

ですが、上のような論理展開とチャートの実際の動き(=事実)が符合することから、上記のような心理が働いてマーケットを動かした可能性が高いと考えることができます。

こう考えるとチャートの動き(=事実)に整合するから、こう考えるのが正しい、という論法ですね。

 

今回お伝えしたかったのは、ダブルトップや三尊といった様々なフォーメーションをただ暗記するのではなく、その背後にはそれをそのように動かした人間の心理があるということを理解すれば、どのようなチャートの形になっても自分の頭で考えて、アクションが取れるようになるということです。

何より、無味乾燥なチャートが、期待、歓喜、失望、恐怖といった人間の感情のるつぼに変化し、分析するのが楽しくなると思います。

 

TradingViewのアイデア投稿では類似のケース(ユーロ円を例にして)についても紹介しています。

興味のある方はぜひ確認してみてください。

 

僕が使っているチャートツールTradingviewはこちら



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