Editor's Pick トレード戦術 市場心理分析

ウォールストリート・チートシート(Wall Street Cheat Sheet)から市場参加者の心理を意識しよう

こんにちは、サバイサバイFXです。

今回は市場心理に関するトピックとして、ウォールストリート・チートシート(Wall Street Cheat Sheet)を紹介します。

相場は人間心理が動かすものであり、チャートは人間心理が波動となって現れたものというのが僕自身の相場観の根底にあるのですが、その相場に働く心理を理解することで、少しでもチャートを客観的に見られるようになり、質の高いトレードに繋げられるのではと思います。

 

 

ウォールストリート・ チートシート(Wall St. Cheat Sheet)とは?

ウォールストリート・チートシートとは以下のような相場の上昇・下降のサイクルに沿って現れる投資家の心理を説明したダイアグラムの事です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縦軸が価格、横軸が時間となっており、価格が上昇のピークに近づくにつれ、またピークから下落していくにつれ人間がどのような心理状態になるのかを色で示したものが図の右上に示されています。

メインチャートにもこの色の変化とともに投資家の感情推移が表されています。

これを左側から見ていくと、上昇トレンドが始まる直前の段階ではまだその手前の下落相場での思いを引きずっているのか、赤で怒りや危険意識が示されています。

そこから徐々に上昇していくにつれ、安心や安堵感が広がり(青)、さらに上昇してピークに近づくにつれその安心は確信へと変わります(緑*)。

※英語で青信号をGreen lightということからも緑は進んで良しといったような確信を表す色としても使われるのでしょう。

しかし、まだまだ上昇は続くと思われたその矢先に、相場は上値の重たさを見せ、投資家心理にも警戒感が現れ始めます。それが黄色で示されています。

さらに価格の下落が続くと、警戒感は不安や焦りに変わり(オレンジ)、終いにはパニックや怒り(赤)に変わります。

その後底値圏での停滞が続くにつれ、怒りは諦めへと変わり意気消沈。続く上昇相場の入り口においてもその上昇の兆しが信じられない状態のまま新しい上昇サイクルを迎えます。

 

相場格言にも、

上昇相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく

という格言がありますが、まさにこの通り表現されていることがわかりますね。

 

上の格言も、元々はアメリカの投資家ジョン・テンプルトン氏の言葉

"Bull markets are born on pessimism, grow on skepticism, mature on optimism and die on euphoria"

の日本語訳みたいなので、もしかしたらチートシートから来た(もしくはそこからチートシートが作られた)のかもしれません。

 

チートシートの日本語訳

参考までにチートシートに記載された投資家心理の日本語訳も載せておきます。

 

Disbelief(不信)
この上昇は(これまでにもあった一時的な上昇と同様に)失敗に終わるに違いない

Hope(望み)
市場は回復していくかもしれない

Optimism(楽観)
この上昇は本物だ

Belief(確信)
全力投資すべき時が来た!

Thrill(興奮)
証拠金目一杯まで買ってやろう。皆んなにも買いを勧めなきゃ。

Euphoria(陶酔)
俺は天才だ!これで俺たち全員リッチになれるぜ!

Complacency(自己満足)
次の上昇までちょっと頭を冷やさないとな。

Anxiety(不安)
なんでマージンコールを食らうんだ?
今回の押し目は普段より時間がかかるみたいだな。

Denial(否定)
俺は優良企業に投資してるんだ。いずれ反発するさ。

Panic(パニック)
ちきしょう!みんな売ってやがる、俺も逃げなければ!

Capitulation(降伏)
100%退場だ。これ以上資金を失うことはできない。

Anger(怒り)
一体誰が売ってるんだ!政府はなんで何も対応しない??

Depression(意気消沈)
俺の老後資金は全て消えた。。買ったばかりのこれらはどうやって払ったらいい??

Disbelief(不信)
どうせマヌケどもが買ってるんだろ。上がるわけないさ。

 

 

誰しもが身に覚えのある感情・・・ですよね。

 

 

ビットコイン相場との類似性

続いてはチートシートで紹介した相場サイクルと市場心理が実際の相場に現れた例を紹介したいと思います。

下のチャートはビットコイン(BTC/USD)の2020年11月から2021年8月にかけての日足チャートです。

 

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ぱっと見、非常にチートシートに似ていると思いませんか?

特に当時の最高値であった64000ドルから一気に下げていくところの形はそのものと言っても良いでしょう。

当時はイーロン・マスク氏のビットコインの下落を煽るようなツイートも出回ったりで、チートシートに記載された感情が渦巻いていたことが想像できます。

 

 

もう一つビットコインのチャートの例として2017年末の仮想通貨バブル時の日足を取り上げたいと思います。

チートシートに記載の感情をマッピングしてみました。

こちらもそっくりそのままといった印象でしょうか。

 

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さて、いかがでしたでしょうか。

言うは易し、行うはなんとかと言いますが、

書いている僕自身も偉そうに講釈垂れることができるほど感情がコントロールできているわけではありませんし、図に示されているような感情ドンピシャになることもあります。

ただ、このサイクルを知ってから意識できるようにはなりましたし、やはり知っているか知っていないかでそれを活かせられるか否かの分かれ目になる場面もあるかと思います。

その意味でも、今回はじめてこのことを知ったという方は、"意識できるように意識してみる"と、何かが変わるきっかけになるかもしれません。

意識の変わり目が行動の変わり目とも言います。

 

 

市場心理分析

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